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推し、燃ゆ/宇佐見りん
推しがファンを殴ったことから、主人公の生活が少しづつ傾いていく小説。自分に推しというものがないので完全な理解は難しいが、推すことへの覚悟や、価値の重みというものが滲み出ていて、とても面白い。
無血なのに生々しい表現がとてもいいので、むしろ推しがいない人の方が読むべきだと思う。
ちなみにこの本で芥川賞獲ったらしい。
https://www.amazon.co.jp/dp/B08HGQXTKY
白ゆき姫殺人事件/中村義洋
「白ゆき姫」とも称される女性が刺され、燃やされる事件が起こる。TVディレクターである主人公は、同僚や同級生へ取材を続け、ある人物へと行きつく。
得た情報をTwitterに上げることで噂が広まっていくが…という映画。
人間って複雑に見えて単純で、逆にそれが物足りなさを生む、という感情になった。
こういうミステリー的なのはあまり見ないが、種明かしされるタイミングで全て納得してしまった。星四つ。
https://www.netflix.com/search?q=%E7%99%BD%E9%9B%AA%E5%A7%AB&jbv=80071140
苦役列車/西村賢太
日雇いで職場を転々とする主人公が、人々と出会う中で、自らの自尊心と不甲斐なさに苦しむ小説。境遇こそ違うものの、感情的に重なる部分は多いので、ここまで没頭して読んだのは久しぶり。
ただ、一応大学に行ってるような自分を主人公は険悪すると思うのでこれは一方的な感情。
著者も似たような境遇を送っているらしく、その重みは大きい。
時代や口調が古い感じだったので後々調べたら2010年らしく驚いた。
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死刑にいたる病/白石和彌
残忍な連続殺人鬼が、立件された事件でただ一人だけ、冤罪だと主張することを発端に進んでいく話。犯人の所謂サイコパス的な性格や、それに引き込まれ徐々に変化していく主人公、そして結末までのストーリーが脳が疲れるほど面白い。
監督は「日本で一番悪い奴ら」などと同じらしく、あの寂寞とした雰囲気は本当によかった。
https://www.netflix.com/browse?jbv=81692428
2001年宇宙の旅/スタンリー・キューブリック
5人のクルーとサポート役の人工知能が宇宙船で木星に向かう話。台詞は少なく、ストーリー理解が難しいが、それも含めてとても面白い。
特に結末はハッピーエンドと捉えるかバッドエンドと捉えるか意見が分かれると思う。
サイケデリックで綺麗な映像は1968年の映画とは思えない程である。
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わたしを離さないで/カズオ・イシグロ
ある使命を持って生まれた主人公とその友人が全寮制の施設で成長し、その使命を果たすまでの話。この小説内での用語が出てくると最初は理解しづらいが、段々その意味に気づくと、目前にある暗い闇が見えてくる。
話し方は単調なのにエモーショナルなので、久しぶりに読書で感情的に苦しくなった。
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怪物/是枝裕和
「息子が体罰を受けている」と主張する母親、上下の圧力に疲労する教員、そして複雑な感情を抱く子供の三視点から時間を描く映画。最初は飛び飛びでよくわからなかったが、話が進むにつれて、後ろから理解に波押されるようだった。
ただそれが気持ちいいかというとそうではなく、それぞれの苦悩がすれ違い、上手く噛み合わないときの手の出しようのない感情に襲われてしまう。
言語化するのは難しいが、人間としてのコアな部分に真摯な映画である。
こういうところで安直にエログロに傾倒しないあたりも個人的には好き。
エンドロールの入り方がとても綺麗で、その時に流れていた音楽が琴線に触れる。