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僕がまだ小学生の頃、お台場にあるリスーピア(RiSuPia)という施設によく連れてもらっていた。
そこは理科や数学の法則について体験し学べるゲームがあった。
例えば「素数ホッケー」という素数のみを相手に跳ね返すゲームや、最速降下曲線を実際に確かめるおもちゃなど、様々な展示があって当時は数式も読めないのにとても純粋に楽しんでいた。
今思えばこの施設が理系に進むルーツの一つと言えるかもしれない。

そんな懐かしい記憶を更新するために久しぶりにリスーピアに行った。
しかし、建物はそのままに名前が変わっていた。
少し雰囲気も前と異なった気がしながらも、中に入る。
すると、展示がほぼすべてしまっていた。
そこに理数の面影はほぼなく、その代わりに動画制作や工作のコーナーが大半を占めていた。

自分の中の聖地が崩れてしまった。
リスーピアの他にはない大掛かりな装置や魅力的なあのゲームは、一体どこに消えてしまったのか。
無意識に吐いた溜め息が上手くいかず、喉に詰まってしまう。
やれSDGsだのやれ創造心だの、子供が求めていることはそんな高貴なものではないだろう。
別に環境問題に興味を持ってクリエイティブな子供を育てたいという気持ちは大いにわかる。
しかし、一番大切なのは子供が押し付けではなく何をしたいか、であると思う。
そうでないにしろ、わざわざあったものを押しのけてまで作るものだったのだろうか。

もちろんリスーピアも理数の押し付けである。
ただ、子供は環境という規模の大きくぼやけたものよりも算数や科学の方が身近なので受け入れやすいだろう。
また、環境問題の解決に理数は不可欠であり、より深い領域、より土台となる部分を養うべきではないだろうか。

現在でも数理的な装置がないことは無く、波長を操作して音を変えたり、磁性流体で模様を作ったりと一応そういったものはまだ展示されている。
しかしリスーピアの時のような、YouTubeでは体験できない唯一無二のあの装置たちを、どうか無くさないで欲しかった。


追記
二か月経ってもモヤモヤが晴れないので書いた
https://epigonen.com/TesterPotato/article/0038

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